介護予防通所介護の最初の利用者は元床屋さん

チアフル夫婦

2019年08月15日 10:43

こんにちは、富士市西部で地域密着型デイサービス「せっちゃん家」を営んでいる鈴木です。

 事業対象者や要支援の方たちにも利用していただけるように「介護予防通所介護」の指定を受けて2か月。7月から事業対象者である方が利用してくれることになりました。と言っても、この方、すでにウチに通ってきてくれている利用者の旦那さんです。90を超えてまだまだ元気、奥さんの世話をしながら頑張っておられましたが、介護疲れも手伝い、生活機能の低下が見られるようになったため、申請をして事業対象者となられました。

 初日、ご夫婦で来所された後、脳トレや軽いコグニサイズをしてもらいましたが、脳トレの計算問題はスイスイ、コグニサイズも初めてのぎこちなさはあるものの難なくこなされました。こうなると、認知症で要介護にある他の利用者と同じような流れで時間を過ごしてもらうのはふさわしくないかなとの考えが頭をもたげてきます。当人からも、多少「認知症の人と一緒にしないで」と言う感じのプライドも垣間見え、これにも配慮しながら個別ケアで対応していくしかないとの気持ちを強くしました。

 そこで、脳トレや体操をひとまず置いて、社会性の回復に重きを置くことにしました。お父さんは元床屋さんです。十代からその道に入り70年を超えるキャリアをお持ちでした。「そうだ、床屋さんをお願いしてみよう」。

 「次回来た時に、利用者や私の頭をやってくれませんか?」とお願いしてみると、目を嬉しそうに輝かせて、「いいですよ。さっぱりしてあげますよ」と快諾してくれました。

 2回目の利用となった日。今でもピカピカに磨き上げられた自慢のはさみや櫛、剃刀などを持参した旦那さん。「さあ、早いとこやっちゃいましょう」とやる気満々です。そこで、同じ日に利用していた男性と私の二人の頭を散髪していただきました。道具同様、腕前も現役でした。「短くしていいですね」との問いかけに、「お願いします」と任せた私の頭は、旦那さんのしなやかなはさみ使いと引き換えに、人生で坊主頭の次くらいの短髪になりました。


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